男子校のお姫様
「あの・・・お客さま。申し訳ありませんが私はこの後も接客がありますので・・・」
あたしはやんわりと断ると、そっと手をはなそうとする。
「まぁまぁそう言わず。それにこの格好」
今度はチャラ男2があたしの腰に手をまわしてくる。
「っ・・・やめてください・・・」
どうしよう・・・。近くのテーブルには光君だっているのに・・・。
でも、光君はニコニコしながら女の子とおしゃべりしている。
あたしは恐怖から身体が震えだし、目には涙がたまっていく。
「あれ?震えちゃってる?なんていうか・・・純粋だね~。か~わいい~」
「ってか今にも泣きそうだけど?こういうの初めて?」
あたしはあまりの恐怖に俯いたその時、肩に違和感を感じた。
それと同時にふわりと香ってくるよく知った匂い。
驚きで今にも流れそうだった涙が止まった。
「光君・・・」
顔をあげなくても分かる。光君に抱きしめられてるんだ・・・。
「なんだよお前」
「邪魔すんじゃねぇよ」
「そうだよぉ、光君。そんな子ほっといてぇ、エリ達と話そぉよぉ」
チャラ男だけでなく、光君が接客していた女の子からもかけられる声。
だけど離れることのない光君の腕。
あたしは再び泣きそうになった。