イジワル社長と秘密の結婚
すると、蒼真さんは私を抱きしめたまま言った。

「なんか、離婚を考えるのが、面倒臭さくなってきてさ」

「えっ⁉︎ それじゃ、話が違いますよ」

まさか、この結婚をそのまま続ける気なの? 昨日は離婚に前向きだったのに……。

「イヤです! 私は、この結婚を続ける気はありません。面倒臭さいなんて、言わないでください」

抵抗しながら、彼の腕から離れようとした時だった。

「正直、離婚を考えてる暇がないことに気づいた」

「え?」

そう言った蒼真さんは、私に覆いかぶさると、そのまま唇にキスをした。

「ん………! ちょっと……」

なにが起こったの? どうして、こんな……。手で体を押しながら、必死に抵抗するも、蒼真さんはさらにキスをしてくる。


そのキスは、頭のてっぺんまでクラクラするような力強いもので、どんなに押し返しても離れてくれない。

だんだん乱れてきた呼吸の音と、蒼真さんの唇が触れ合う音とが部屋に響く。

抵抗する術がないまま、しばらくするとやっと唇を離してくれた。

そして、私を見下ろしながら、蒼真さんはこう言ったのだった。

「気持ち良かったろ?」




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