『短編』紙婚式
亮はわたしを抱きしめたまま。
「今日は外食しよ。実はレストラン、もう予約してあるんだ」
その言葉に少し胸が高鳴った。
「ほんと?」
「うん。6時半にN駅西口で待ってて」
「うん」
亮は嬉しそうににっこり微笑み、わたしのおでこにチュッとキスをした。
あの日の出来事さえなければ、嬉しさ1000%なのに。
どうしても心の底からは喜べない。
真実を知る勇気がないのなら、自分で真実を闇に葬るしかないのに。