『短編』紙婚式
結局、昨夜も亮の帰りは遅く、何も解決しないまま結婚式の朝を迎えてしまった。
いつもどおり朝食を作り、料理をテーブルの上に並べる。
そして、いつもどおり亮は、あくびをしながらリビングにやってきて、
「おはよう」
と、わたしに声をかける。
手を止めないまま、
「おはよ」
と声をかけると、亮は寝ぼけまなこのままわたしをぎゅっと抱き寄せた。
「おめでとうだね。結婚1周年」
わたしの耳元で優しく囁いた。
ちゃんと、覚えててくれたんだ。
わたしはそっと亮の背中に手を回し、胸に顔をうずめたまま、
「おめでとう、1周年」
と呟いた。