女王様は上機嫌【GL】
 

千鶴が腕組みをする。

「言っとくけど、礼なんか言わないからな」

冷めた瞳だ。

「放っときゃいいのに、あんたが勝手に下敷きになったんだ」

その瞳を見たくなくて、わたしは俯いた。


「別に、お礼がほしくて助けたわけじゃ‥‥」

なんだか、悲しい。



どうしてそんな言い方するの?

どうしてそんな表情するの?


せっかく助けれたのに。


せっかく――。



「――でも、だって、友達になれって言ったじゃん」

ぽろっと言葉が零れた。

わたしは顔を上げ、千鶴を睨みつける。


「友達だったら助けたいって思うじゃんっ」

 
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