閑中八策
三丁目の夕日と旧校舎の夕子さん
「三丁目の夕日症候群」という言葉がある。一部の評論家などが現在の世相を指して言っている事である。
マンガ「三丁目の夕日」が非常に人気で、そこに描かれた昭和30年代の生活を懐かしむ風潮が広まっている。

それ自体は別に悪い事ではないのだが、「あの時代は良かった」という価値観を現代の日本にそのまま当てはめようとすると若者の判断基準を狂わせてしまう。
経済活動に持ち込むとゾンビ産業の温存になってしまって国の進路を誤らせる。

「三丁目の夕日」の時代を懐かしむのは個人の自由だが、同時にそれは年寄りのノスタルジーに過ぎないという自覚を忘れてはいけない。
昭和30年代がどんなにいい時代だったとしても、その時代の「良かった部分」だけを現代日本で再現するのは不可能なのだ。

さて、では今の若者世代はあの時代をどう見ているのだろう?
これは最近のマンガやアニメに徐々に表れてきていて、かつ結構冷静に見ているようなので感心する。

現在テレビアニメになって放送中の物だけでも「黄昏乙女×アムネジア」、「坂道のアポロン」、「氷菓」が直接、間接にそれを描いている。
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