閑中八策
選挙制度改正考察(1)ドント方式
賛否両論はあれ、消費税引き上げと社会保障と税の一体改革は一応の結論を見たようである。
次に国民にとって重要な法改正になりそうなのは衆議院の選挙制度の改正だろう。
がなんともややこしい話になりそうなので、今のうちにおさらいしておこう。
今年か来年あたりに新しく有権者になる若者は特に興味を持っておいて欲しい。

さて現時点での日本の衆議院の選挙制度は「小選挙区・比例代表並立制」と呼ばれている。
この並立制を「併用性」や「連用制」やに変えようと議論が国会議員の間で起きている。
どれにするかによって政党の勢力図が今とはがらりと変わってしまう可能性があるので、よく分かっていないと投票の時迷う危険がある。

だが、この問題を論じるには「ドント方式」という物をきちんと理解していないと、選挙制度のどこがどう変わるという話なのか理解できない。
まずはドント方式とは何か?から説明しよう。

比例代表制度というのは日本なら例えば北海道ブロック」とか「南関東ブロック」とかで、有権者に政党の名前を書いた投票用紙で投票してもらい、その得票率に従って各政党に議席を割り振るという制度である。

素人考えだと、たとえば100議席を割り振る場合、ある政党の得票率が38.5%だった場合、「100×38.5%=38.5」でいいじゃん、と思いたくなる。
しかし「議席数」が38.5議席というのは具合が悪い。
コンマ5の部分はどうしてくれんねん?!という問題が起きてしまう。
ミニ政党だと「0.5議席」なんて数字が出る可能性もあり、この場合、この政党の議席はあるのか無いのか?

またアンケートの集計をやった事がある人なら分かると思うが、小数点以下を切り上げ、切り捨て、四捨五入いずれで処理しても、合計が100%に戻らない事が起こり得る。
上記の議席配分だと、実際の議席数の合計がぴったり100になる場合はいいが、99や101になっちゃいました、という事が起きる可能性がある。
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