隣人は高校教師


学校に着くと、あたしの事を知ってる人間もあたしが知ってる人間も誰一人いないこの空間に、孤独感が付きまとう。

人見知りがちな性格なので、自分からは話しかけれないし、顔も伏せて歩きがちだ。

クスクス笑う声が聞こえると、自分が笑われてるのでは?と少し不安にもなる。

とりあえず自分が取った学科の教室へ向かう。


広い部屋に沢山並んだ椅子に座る皆が、新しく入ってきた人を興味津々で見ているのが分かる。
空いてる席に座ると、その後すぐに隣に人が座った。


「ねぇ」

突然隣から声をかけられ、間を置いて顔を上げた。
ショートカットの目が大きい子が、ニコッと笑いながらあたしを見ていた。

「あたし、陽菜っていうの。あなたは?」

「あ、舞…っていいます」

「よろしくねー」

人懐こい笑顔の彼女の雰囲気に、だいぶリラックスしてきた。


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