隣人は高校教師


「舞ちゃんは学校楽しい?」

突然の話題に思わず、え?と聞き返す。

「大学。
刺激的な毎日送ってるか?」

刺激的な毎日なんて、大学よりむしろあなたのおかげで体験してますが。

「うん、まぁまぁ…ですね。」

曖昧な返しをすると、そうか。と少し微笑んだ。

「俺の生徒も楽しいって思ってくれてたらいいけどなぁ。
こんな風に桜見せたりしたいけど、そんなのさすがに無理だしな。」

初めて彼が仕事の話しを出して来た。
生徒という言葉に別人な様な感覚になる。

「そんなの簡単ですよ。
一言言えばいいんです。
'あそこの桜並木は見なきゃ損だ'って。
そうしたら高校生なんて皆行ってみたくなります。
それに高校生なんて、毎日友達と話してるだけで楽しいと思いますよ。」

「…よくご存知で。」

「去年まで現役でしたから。」

小さくピースしてみると、ははっと笑ってまた頭に手を置いた。

癖なのかしら?
それとも、女の子は皆これに弱いのを知っていてわざとしているの?

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