隣人は高校教師


その袋を拾おうと手を伸ばすと、思い切り後ろから抱き締められた。

耳元で、掠れた声が響いた。

「俺の事、好きって言ったの?」

「………あたしは、あなたがその言葉を言ってくれるのを待ってたの。」

静かに腕を離し、あたしに向き合った。

「…確かに、忘れられない女が居たのは事実で、舞ちゃんに好きだって言える勇気がなかった。
ずっと迷ってた…言ったら何か変わりそうで。
だけど、やっぱりどう考えても俺は舞ちゃんが好きだった。
すげー胡散臭いと思うけど、信じて欲しいって思う。」

「……うん、信じる。
信じさせて欲しい。」

パァッと明るくなった顔に思わずつられて笑ってしまう。

…可愛い。

「良かった!
振られたら耐えられないってビビりながら告白してたんだ!
いい年こいて恥ずかしい!」



< 77 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop