愛は満ちる月のように
美月はホッとして口を開く。


「チラッと聞こえたけれど、さっきのような女性がたくさんいらっしゃるの?」

「君が想像するほどたくさんじゃないさ」

「その返事だと……あの女性以外にもいる、ということよね」


何気ない言葉だったが、悠は本当に戸惑ったようだ。

そんな悠に美月は思い切って伝える。


「でしたら、簡単に承諾していただけそう……」

「それは……?」

「ユウさん、私と離婚してください。そのために日本まできたの」


美月は本心を悟られないよう口元を引き締め、笑顔を浮かべた。


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