愛は満ちる月のように
言葉が途切れたのは悠が唇で邪魔したからだ。

悠の指先がバスローブの中に滑り込む。決して脱がそうとはせず、性急ではなく、時間をかけて熱いシャワーに火照った肌をなぞった。


美月にすれば少しこそばゆい。身体をくねらせ、くすくすと笑い始める。


「やだ……ユウさん……今夜はもうダメよ。明日も仕事なんでしょう? 私は書斎のソファベッドで寝るから」

「何を言ってるんだ。ここで一緒に眠ればいい。もちろん、初めての君にこれ以上ムチャはしないさ。安心してお休み」

「ルーフバルコニーでムチャしたくせに?」


美月が悠をからかうように言うと、


「ああ、そのとおり。どうしてもと言うなら……ご期待に応じてもいいよ“美月ちゃん”」

「あ……や、だ」


名前を呼ぶと同時に、悠の手の平がバストを包み込む。その手は優しさから激しさに変わる。


「ユ、ユウさんっ」


美月が叫んだ途端、悠は手を引いた。


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