愛は満ちる月のように
美月が真剣なまなざしで悠を見つめると、そのまま唇を重ねてきた。

悠の手が身体に触れる。

腰からウエストのラインをなぞり、彼の大きな手で胸を押し上げられた。優しく、ゆっくりと、キスのリズムに合わせるように、悠の指先が動く。


「……ユウさん、あの……」

「抱いて欲しいと言ったのは君だよ」


悠は身体を起こすと、シュルッとネクタイを解き、床に放った。ワイシャツもズボンも次々脱いでいく。


薄いカーテン越しに窓から光が射し込んでいた。まだ、日は高いようだ。

それより、このホテルはどういったホテルなのだろう。

美月が寝かされているのは、おそらくダブルサイズのベッド。視界にはテレビとソファセットに小さな冷蔵庫が映った。カーテンの色はベージュ、部屋の大きさは、美月が暁月城ホテルで取ったシングルルームより少し広いくらいか。


柔らかい光の中、美月は悠の裸を見つめた。

昨夜は抱き合うことに夢中で、そんなことまで意識が回らなかった。

もちろん、一緒に住んでいたので、半裸に近い格好は目にしたことがある。水着姿も何度も見た。だが、こうしてベッドで向かい合う彼は特別に思える。


「私……あなたのこと……その、身体が好きだわ」


うっかり、『好き』と言ってしまいそうになり、慌てて付け足した。


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