愛は満ちる月のように
「本当にごめん。服も脱がずに何をやってるんだか……」


情熱に押し流された時間がひと段落すると、悠は我に返ったように謝り始めた。

そんな彼を無視するように、美月は自分でワンピースを脱ぎ、ベッドに滑り込む。


「何を謝ってるの? 私は別に悪くなかったわ……ユウさんはよくなかった?」

「君を抱いて、よくなかったことなんて一度もない」


美月のあとを追うように、服を脱ぎながらベッドに入ってくる。


「そう? でも……あと一週間しかないわね」


美月の言葉に悠は何も答えない。彼の裸の胸に耳を押し当て、鼓動を聞きながら……。


「桐生のことは……何かわかった?」


悠は三秒ほど沈黙を守りながら「……いや……まだ、連絡はない」と、ため息をつくように答えた。

「そんなに、早く結果を知りたい?」

「いい結果なら、早く知りたいわ。将来の計画も早く立てたいし……。小太郎にこんな大変な思いをさせなくても、私が会いに行けるかもしれないんだもの」


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