愛は満ちる月のように
「僕を嫌う人もいて……。お姉さんは、僕と一緒がイヤなら誘わなければいい、って言うんだけど。でも、みんなお姉さんのことが好きだから、仲よくしたかったんだと思う」


そう言うと小太郎はまたジッと悠をみつめた。


「もし、僕が来たせいで悠お兄さんとケンカしたら、どうしようって。僕がもっと普通だったらいいのに、僕は普通じゃないから」


小太郎の言葉に悠は胸が痛くなる。


「そうか……本当を言えば、僕も普通じゃないんだ。自分で自分が情けないよ。真のようになれたらいいと思う。君も、真のことが好きだろう?」

「はい! 真お兄さんは優しくて楽しくて、大好きです」


屈託のない返答に悠も笑うしかない。


「でも、悠お兄さんも好きです。だって、お姉さんの大好きな人だから」


悠は不覚にも涙が零れそうになる。

必死でごまかしながら「ありがとう」と笑い返した。


< 237 / 356 >

この作品をシェア

pagetop