愛は満ちる月のように
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美月の仕事場である個室は管理棟に、そして私室は裏庭の一角、三階建ての宿舎の中にあった。

一階の角部屋、二間続きの日当たりのいい部屋だ。


彼女の大泣きに誰もが驚き、一時は飛んで来たジュードに悠は放り出されそうになった。


『なんでもないの。あの……主人が、私と子供のために仕事を辞めてここで暮らしてくれるって。それで、嬉しくて……だから、心配しないで』


美月がそう説明してくれなければ、本当に警察を呼ばれていたかもしれない。

そして、美月が落ちつくまで部屋で休んだほうがいい、ということになり……悠は彼女を抱き上げ、私室まで連れて来たのだった。



「あの、ごめんなさい。……私」


美月は悠に抱きついたまま離れようとしない。そのため、悠は彼女を抱えたままソファに腰かけた。

こんなふうに甘えられることなどなかった気がする。本当に受け入れてもらえたことを実感して、悠も嬉しくて堪らない。

思えば、他の何と引き換えにしても彼女を手に入れたい、それほどまで愛したのは初めての経験だ。

頼られることも、甘えられることも、全部受け止めて、自分の全力で彼女を守りたい。

そんな気持ちがこれほどまでに誇らしいことだとは知らなかった。


「重いでしょう? 結構体重も増えてるから……下りるわ」

「僕の膝の上は座り心地が悪い?」

「そうじゃないわ、でも……」

「じゃあ僕の上にいてくれ。一生、尻に敷いたままでもいいよ」


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