もっと…
嫉妬
「ごちそーさんでした♪」



「ごちそうさま…」



空になったお弁当箱をバッグに押し込み、机に突っ伏した。


……腹が痛い…っ。


やっぱ牛乳がいけなかったのかな…。



梓の様子の変化に気付いた朱里。



「梓…?大丈夫?」



「ん…。大丈夫じゃないかも…私保健室行って来る…」



「あっ、付き添うよ」








コンコン…


「失礼します。先生は居る…かな?」



朱里が保健室を見渡すが、保健の先生は居ない。


とりあえず、梓はベッドに横になった。



「じゃ、私もう行くから。渡辺先生には私から言っとくね!」



「うん。ありがと…」










ガヤガヤ……



ん……?何かガヤガヤしてきた。


梓はベッドから起き上がり、カーテンをそっと開けた。




…あれ?新妻先生…と女の子。確か2組の…加藤由紀さん。



「じゃ、家に帰ってゆっくり休むんだぞ」



「はぁ~い…」



早退かな?



「ねぇ先生?私、帰ったら一人なの。お願い…暫く一緒に居て?」



「………」



な、何言ってんのあの子…。一緒だなんてそんな…っ。


しかも新妻先生は何で黙ってるの…?


まさか…あの子に同情してるの?



「お願い…っ。…じゃあせめて、お母さんが帰ってくる放課後まで…!!」



そう言っても、新妻先生は黙ったまま…

難しい顔をしてる。



「じゃ…キスして…?」



……はぁっ!!!?


キ、キスゥ!?


昨日新妻先生とキスした…じゃなくて“された”事を思いだし、顔が火照ったのが分かった。


ってか、新妻先生…あの子とキスする訳無い…よね…?



でも、何だか嫌な予感が…っ。


「……分かった」












え………?



嘘…よね…っ。だって…




だって…っ!!




「う…っぐす、うぇ…」



梓の目から大量の涙が溢れ出してきて、梓はベッドに潜り込み、耳を塞いだ。



塞いでるのにキスしてる音が聞こえてくる。音からして、結構な……っ。


やだ……やめて…ッ。









私以外の人とキスしないでッ。







梓は泣き疲れ、浅い眠りについた。
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