もっと…

こ、恋っ!?

あの後、ずっと新妻先生の顔が頭から離れない…。


家に帰り、ご飯を食べている時も、お風呂に入っている時も……

考えるのは新妻先生の事ばかり。

だって…ほっぺにキスされたり頭を撫でられたりしたんだよ?


何で…どうして新妻先生は…。
どんな理由で……―――――








「…梓…梓っ!!」



「えっ!?な、何?」



気付くと、目の前には不機嫌な朱里が仁王立ちで立っていた。


「もう…。さっきから呼んでるのに、梓ずっと上の空なんだもん」



「あーゴメン」



(全然謝る気ないでしょ…)



朱里は心の中でそう思い、深くため息をついた。そして、梓の前の席に座り、梓の顔を覗き込む。


…いつもの梓じゃない。上手く言えないけど、何かがあった事は確かだと思う。



「梓?」



「………っ!何?」



また…ボーっとしてる。

もしや……



「恋の悩み?」



「こ、恋っ!?」



凄く取り乱してる。こんなの、いままで全く無かったのに…。梓らしくない。

誰…。相手は……


朱里は梓の耳元に口を寄せ、



「新妻先生でしょ」



意地悪を言った。意地悪で言ったのに、…どうやらビンゴらしい。



「そっかそっかぁ~。梓が恋ねぇ~」



「違う!これは、恋とかじゃなくて…。何か気になる…ってゆーか…」



梓…。それを世間では恋と呼ぶんだよ。

何か、めっちゃ可愛い…
モジモジしてるのが可愛くて仕方ない。

…って、私は何言ってんだろ。
あやうく危ない橋渡る所だったよ…(汗)



「とにかく!これは恋じゃないからね!!」



「はいはい。もう分かったから、とりあえずお昼にしよ♪」



え…もうお昼…?


私どんだけ思考とんでたんだろう…。

こんな長時間、何新妻先生の事ばかり考えてんのよ。私…。


これじゃ…新妻先生の事、好きみたいじゃない…。

違う…。絶対に。

違うに決まってんのに、何でこんなにモヤモヤするの?


梓はそのモヤモヤを流し込むように、ペットボトルの水を一気に飲み込んだ。

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