もっと…

俺様男子、登場。

あの日から1週間ほど経った今、梓は新妻先生の事を自然と避けてしまっている。



もちろん、放課後はすぐ家に帰る。


二人きりになりたくないから。




結局、個人授業をしてくれたのは一回だけだった。


授業にはついていけてなくて、数学全く分かんない。



でも、頼りたくない。



変なプライドなんか捨てて、教えて♪って、クラスの子みたいに可愛く言えたら……。



会いたい…


会って色んな事喋りたい…


少しだけでいい……






新妻先生と一緒に居れるだけで……




私は満足。







でも、自分から動く事が出来ない。


自分から動かなきゃ、何も始まらないのに…。



自分では分かってるつもりなんだけど、





体が動かない………。





「梓っ♪」



「ん?何…」



「2組の男子が呼んでる!結構イケてるよん♪」



「だから私、イケメンには興味……」



「あーそうだったね。梓は新妻っち派だもんね♪」



に、新妻っち…て…。


何そのあだ名…。



「ま、まぁ…そうだけど。教室でそんな堂々と言うんじゃないの!」



冷やかしてくる朱里を軽くあしらい、廊下に行った。


…そのイケてる男子って誰よ。


梓がキョロキョロしてると、後ろから肩をポンッと叩かれた。


「川瀬さん」



「え…っと…」



「俺、伊東春樹(いとうはるき)。突然だけど、俺と付き合え」



………何それ。


何その俺様発言。


そういえばこの人、俺様で有名だった。


絶対に嫌なんだけど…。



すると、伊東春樹が梓の腕を掴み、人気のない渡り廊下に連れだした。



「あの。私、あんたみたいな俺様と付き合う気ないのよね…。悪いけど、私の事は……」



「フン…ッ。噂通りの毒舌だな。でも、その方が面白い…」



伊東春樹は梓の髪をー束とり、そっとキスをした。



「面白い…って、どういう意味なの?」



「答えは簡単だ。この学園の女全員を俺に惚れさせて、バカ面拝むのが、俺の趣味なんだよ…」



「フ…ッ。王子様にでもなるつもり?それとも、自分の周りに可愛い子集めて、ハーレムを楽しみたい変態なのかしら…?」


「面白い…っ。気に入ったぜ、お前。絶対俺に惚れさせてやる」



「せいぜい頑張るが良いわ。但し、私はそこいらの女の子みたいに軽くない。簡単な事では堕ちないわよ」



誰があんたみたいな俺様に惚れるかよ…。


それに、私は新妻先生の事が好き。


片想いしてる女の子を惚れさせるなんて、至難の技よ?








でも、何だか面白くなりそう…(黒笑
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