隣に魔王さん。


「これか。」


ひょいと持ち上げた袋を私に渡す。そして、ネックレスを手に取る。


「外すなと言ったろう?」

「勝手に外されてたんですよぅ」


プクリと膨れる私に含み笑いを向けて。
私の首にそれをかける。


ひんやりとした、でもどこか温かい慣れた感覚に自然と笑みが零れる。


「えへへ、」

「ほら、帰るぞ。」

「え、このままですか?」

「置いてくぞ、」

「……このままでいいです。」


だって、置いてかれたら帰れないのですよー。
ギュッと確かに袋を持って。


じんわりと触れる魔王さんの温かさに安堵して、張っていた気をゆるゆるとといていく。
だんだん瞼も重くなってきて体から力が抜けていく。



ゆっくりと落ちていく意識の中で、体が動かされてふんわりとしたものに包まれた気がして。



私は意識を手放した。



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