メルラバ
だけど、たまたま応募した『恋愛小説コンテスト』で賞を獲ってしまい、あれよあれよという間に本が売れ、色んな出版社から原稿を依頼され、世の中が空前の純愛ブームだったことも手伝って、私はカリスマ恋愛作家と呼ばれるまでになった。


いや、なってしまった。


なにがカリスマだ。

本当の私は恋愛経験がゼロに等しい。


だからこそ、想像もとい妄想ばかりが膨らんで、現実にはありもしないような甘ったるい話ばかり書いて、経験が伴わないままに知識ばかりが増えていって、まるで耳年増。

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