ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-





次の瞬間、パチンと指を鳴らす音と同時に彼はさっきまでの猫の姿になった。






「……………えぇぇぇぇっ!!?」


そんな!?
そんなことあるわけない、…けど、目の前で見ちゃったわけで。



「眼前で見せつけられたのではもはや否定もできぬわな。…これも何かの縁、しばらく世話になるぞ」


人間の姿に戻ると、さっきのクッションが気に入ったのかその上で悠然と座りながらそう告げた彼。



「んな、なっ!………なんてこと…」


呆然とする私を見て楽しんでいる彼に、私はもうそれ以上何も言えなかった。





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