ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-





―――さっきの猫は銀色に近い白の毛をしてて、瞳の色は見事な青紫色だった。


で、目の前にいる男はその猫と同じ髪の色に瞳の色をしていて、濃紺の着流しなんかを着て私をじっと見つめている。



「………だ、誰?」


「ぬしは猫と思っていたようだがな、我は狐よ。天弧とでも言えばわかるか?」




(…どんな冗談を!)


そう思って猫の姿を探したけどどこにもなくて。
そんな私を見て、背中を隠すくらい長い髪を一つにくくりながら彼は笑う。



「信じておらぬようだな。どれ、これならどうだ?」





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