ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
答えられなかった。
確かにあのときは怖かった。
けど、だからって目の前のこの人が死んでしまう、と考えただけでぞっとする。
(…なにより)
愁の弟なんだ。
半分血の繋がった、唯一の弟。
「それでも生きていてほしいと思うのは、元・人間のエゴなのかもしれないね」
私のその言葉に愁は笑い、梗はぽかんとしていた。
私は愁の腕を引いてそこから離れようとした。
愁もそれに応じ、私を横抱きにしてその場をあとにする。
私は目を閉じて、愁にしがみついたままでいた。