ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
…こんな愁、初めてかもしれない。
そう思いながら私は自由のきく右腕を動かして愁の頭を撫でた。
想像通りの手触りの良さにほっとして、それがまた泣けてくる。
あの真っ暗闇にいる夢の中、探して探した愁がここにいる。
そう思ったら溢れる気持ちを抑えられなくて、私は震える唇を精一杯動かした。
「愁が好きだから。だから、守りたくて――…」
人間と妖弧の恋。
御伽話のようだけど、この気持ちは本物だから。
…愁、信じて。