ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
(とろけそう)
さっきのキスで火照った頬に愁の指が這い、その指の程良い冷たさに私はうっとりとしていた。
「ねぇ、愁?」
「なんぞ」
「…今度はちゃんと、そばに――…」
眠気に負けつつそれだけ言うと、返事代わりに繋がれた手が強く握られて。
それだけで安心した私は、そのまま眠ってしまう。
「―――もうぬしが嫌だと言っても手放せぬよ。…菜々美、愛しておる」
そう囁いて繋がれた掌に唇を落とす愁の姿は、人間のそれと何ら変わらなかった。