ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
この間のキスとは違う、噛みつくような激しいキスだった。
最初から舌で私の唇をこじ開け、逃げる私の舌をからめ取ろうとうごめいている。
「―――ン、…ぁ」
隙間なく重なる唇から漏れる自分の声はひどくいやらしく聞こえて、訳もなく涙がにじんでくる。
逃げられないように後頭部と腰に腕を回されてしまい、私たちは裸のまま密着していた。
「―――どれ、傷の具合を見てやらねばな」
急にキスをやめたかと思うと、愁は私の左肩に顔を寄せ傷口を舐めだす。
ざらりとした舌の感触に、私の身体はつい飛び跳ねてしまった。