ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「ずいぶんよい反応をするな。いじめ甲斐がある」
そう言って何回か傷口を舐めたあと、愁は私の首筋に舌を這わせ始めた。
「………んぅ、や!」
「菜々美は、甘いな」
そう言って何度も何度も舌を這わせ、ときどきチクリとした痛みを伴いながら吸い上げていく。
(あ、…限界………)
初めて味わう刺激に加えてお湯に浸かりっぱなしでのぼせたからか、そこで視界が真っ暗になってしまった。
「…菜々美?―――いかん、やりすぎたか」
ぐにゃりと力なく倒れる私に気づいた愁は、私を横抱きにしてその場をあとにするのだった。