リブート
そのサイトは他界したリーダーの誕生日にむけて

カウントダウンをしているだけで何の情報もなかった。

だけどメンバーの一人に問うと、

まだ詳しく話せないけど公式なものだと教えてくれた。


だから私は、またそれを見届けてから死んでも遅くないと思い

先延ばしにした。



そうして私の寿命は少しずつ延びている。

そんな時出会った言葉がある。太宰治の名言だ。

『死のうと思っていた。
 今年の正月、よそから着物一反もらった。
 お年玉としてである。着物の布地は麻であった。
 ねずみ色の細かい縞目が織り込まれていた。
 これは夏に着る着物であろう。
 夏まで生きていようと思った。』


ハッとした。


ああ、そうか。

そうやって小さい事の積み重ねで私たちは生きているのかもしれない。

大きくなくても小さな楽しみを胸に生きているのかもしれない。

少し生きる意味が分かった気がした。


本当に死にたくなったら死のうと決めた。

それに、必ず死は訪れるのだ。
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop