GEDOU―樹守る貴公子―
守りたきもの

待ち人





 天冥は、ほとんど白に近い灰色の虚空のような空間にいた。


(どこだ・・・)


 明道の御霊は、どこへ行った。

 天冥は肉眼と心眼を共に働かせ、明道の姿を探した。


 これが明道ではなく自分の嫌いな部類の貴族であるあらば見捨てている所だが、そうはいかない。


 明道は、命を危険に晒してまで、利益の無い、それであってかけがえのないものを守ろうとした。

 そしてその父親を待っている子供達もいる。


(俺はやはり、子供に甘い・・・)


 今度こそ、そこは改悛せねばならないな。


 天冥は切実に思いながら足を進めた。


「!」


 天冥の目に映ったのは、三途の川だった。

 そしてもう一つ、二人の人影が見えた。





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