ファンタスティック·レボルバー
笑い続ける私を見て気まずくなったのか、柴本くんは私の傍にあった顕微鏡を触りはじめた。
カチッ、カチッと、レボルバーを回す音がする。
「顕微鏡って、レボルバーを回せば倍率が簡単に変えられるよね」
「うん」
いきなりそう呟いた柴本くんに、とりあえず相槌を打つ。
「知ってる?
顕微鏡って、高倍率よりも、低倍率の方がピントを合わせやすいんだって」
「そうなの?」
「うん。でも僕は……」
そこまで言うと、柴本くんは顔を上げて私を見た。
薄暗い生物室で見上げた柴本くんは、今までにも増して優しそうな笑顔だった。
今日の部活の影響だろうか。
頬は少し赤い。
「僕はさ、人間だから。近づいた方がピントを合わせやすい。
いつもあそこから見てたんだけど、気付いてた?」