女王様のため息


突然の展開が理解できなくて、言葉を失った私の視界に入ってきたのは、さっき別れたばかりの貴和子だった。

昼休みを終えて、お化粧直しを済ませた綺麗な顔で、受付のブースに座ってにやりと笑っていた。

受付嬢として普段浮かべている美しい業務用笑顔とは違ったその表情から、この司の行動の片棒をかついでいるんだろうと、すぐに理解できた。

そして、貴和子のその表情には、私の気持ちを後押しするような力強い思いも見え隠れしている。

そんな貴和子から、何故か安心感も得て、司について行った。

司が向かっている部屋は、受付の許可がないと使えないし。

きっと、貴和子の入れ知恵なんだろうな。

「司……」

ロビーの奥の部屋に押しこめられながら、これからの『5分』が怖くもあり、緊張感もあり。

そして、司の体温が手先から感じられる今が、私の気持ちの彩りを大きくするようで。

浮足立つ、そして、嬉しい。

妙な気持ち。

確かなことは、5分という短い時間が、二人にとってはとても大切な時間に違いないって事。
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