女王様のため息

私のすぐ近くで、まるで私を抱きしめているように寄り添う司を意識から遠くに追いやって。

画面を見つめながらため息をついていると、司が画面をのぞきこんできた。

「海くん?……出ないのか?」

さっきから続く機嫌の悪さをそのまま隠そうともしない低い声に、鼓動が跳ねる。

自分のそんな気持ちも無視しようと決めて。

はあ。出るしかないか。出てとりあえず謝るか。

そう気持ちを決めて、電話に出た。

「ごめん、今度おごるから、今日は何も言わないでっ」

海からの言葉が聞こえる前に、私は急いで叫んだ。

周囲の人たちからの怪訝そうな視線を浴びて恥ずかしくなるけれど、この夜中に海からの小言を聞くよりはまだましだ。

『で、今日俺がわざわざ真珠のために用意した男前達は、真珠の会社の綺麗どころ達にしっかりとお持ち帰りされて解散しました。報告終了』

はあ……。

背後の司といい電話越しの海といい、どうしてこうもこの男どもは、機嫌の悪さを隠そうとしないんだろう。

私だって、毎日大変なのに。

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