女王様のため息

これまでの関係に助けられるような司からの夕飯への誘いは、夕べのキスの意味をどう受け止めればいいのか混乱している私をさらに憂鬱にさせた。

車という密室に二人でいて、今まで何もなかったこれまでが不思議にも思える。

司が好きだという私の気持ちが、長い時間をかけて溢れ出してしまって、その隠しきれなくなった私の気持ちを察した司が思わず反応してしまったキスだったのかと。

司にとっては『はずみ』として片づけられる簡単なキスだったのかもしれないけれど、私にはとてもそんな軽い言葉では片づけられない重いキスだった。

軽く交わした程度のものだったし、一瞬だと言えばそんなキス。

私の本音を隠さずに見つめれば、もっと深く求められたかった。

後ろめたい気持ちすら漂う私の心に、司の彼女への罪悪感はさらに募る。

ごめんなさいと面と向かって謝る事はできないけれど、それでもやっぱり、申し訳なさを感じないわけじゃない。

けれど、いくら申し訳ないと思っていたって、それは自分の行動を正当化するための身勝手な気持ちに違いはなくて、どんなに私が傷ついて泣いたとしても。

諦めなくちゃいけない司への気持ちは、報われる事がないって、誰よりもわかってる。



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