桜空あかねの裏事情
あかねの言葉が余程嬉しかったのか、昶は笑みを浮かべて目を輝かせた。
一方で朔姫は何か考える素振りをした後、そんな彼の前に立つと口を開いた。
「知っているとは思うけど……山川朔姫です。よろしくね、香住くん」
「お、おう!よろしくな山川さん!」
ぎこちなくも笑い合う二人を見て、あかねは更なる提案を口にする。
「折角だから、二人で寄り道でもして帰れば?」
「はい!?」
驚きに声をあげたのは昶だった。
すると彼はあかねを引っ張り、耳元に顔を近付けて朔姫に聞こえないよう小さな声で、早口で話し始める。
「ちょい、あかねさん。それはキツい!お前がいるならいいけど、流石にキツい!」
「えーいいと思うけど」
「いや、山川さんと二人きりって展開!この上ない事だけどよ!」
「ならいいじゃん」
「いやいやいや!男子達が黙ってねぇって!」
軽い口調だが、頑なに断る昶。
他人に気を遣う彼は、どうやら周りの反応を気にしているようだった。
自分と相手が良ければ、第三者など関係はないはずなのだが。
昶を余所に、朔姫に問い掛ける。
「山川さんは?」
「私も特に用事はないし、構わないけど……」
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