桜空あかねの裏事情

「一緒に……ですか」


呟くように繰り返すと、あかねは厳しげな表情を浮かべた。
異能者を探す為にも知る為にも、その行動は最適と言える。
だがジョエルと共にいる間、嫌味と皮肉を浴びせられ続けると思うと、気が進まなかった。


「え、なになに?もしかしてジョエルと」

「違います」


まだ何も言ってないが、余程聞きたくないのだろう。
拒絶するほどの即答ぶりに、湊志は口と動きを止める。
そしてアーネストの耳元に近付き、小さな声で話し始めた。


「あかねちゃんって、ジョエルの事嫌いなの?」

「嫌いってほどではないと思うけれど……。まぁ、あまり良い印象は持っていないだろうね」

「あー……なんとなく分かっちゃったかも」


一人納得する湊志を余所に、アーネストはあかねを優しく諭す。


「ジョエルの言い方は決して良いものではないけれど、今の君には頼りになる存在でもある。とは言え、あかね嬢が嫌ならもちろん、無理にとは言わないよ」

「…………いえ」


間を空けながらもあかねは首を振るく。


「ジョエルが何と言おうと、絶対行きます」


今優先すべきは私情ではなく、目の前にある事実。
複雑に思いながらも、あかねは感情に抗うのだった。


.
< 167 / 782 >

この作品をシェア

pagetop