桜空あかねの裏事情

「い、いきなり何?しかも逢い引き?狼?……意味分かんないんだけど」


驚きと困惑に若干どもるあかねだが、真意を質す為に言葉を紡ぐ。


「何を勘違いしてるか知らないけど、私は今日アーネストさんと一緒にいたんだよ」

「アーネストさん!?」


悲痛にも似た声を上げる結祈。


「そんな……あかねは、アーネストさんと一緒にいたのですか?」

「うん。そうだよ」

「いけません!絶対駄目です!彼はすけこましなのです!」

「すけこましって……まぁそんな感じだよね。ははっ」


真顔で言ったのが可笑しかったのか、言葉が面白かったのか、あかねは楽しそうに笑いながら言う。


「笑い事ではありません!」

「大丈夫だよ。私とアーネストさんはそんな関係じゃないから」

「甘いです!そう思っていた女性が今まで数多にいたことか……!そのほとんどが、彼の毒牙に掛かったんですよ!」

「そんな大袈裟な」

「貴女に何かあっては遅い。今後一切、二人で出掛けては駄目です!話すときも半径一メートル以内に近付けさせない!いいですね!」

「えー」

「絶対駄目です!」



それから廊下にてしばらく説得し続けていたが、結祈は頑なに首を横に振るばかりで、話を聞いてもらえなかった。

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