桜空あかねの裏事情


そうこうしている内に、あかねとアーネストは黎明館に着いた。
既に午後九時を過ぎており、それぞれ部屋で各々の時間を過ごしているのだろう。
シャンデリアの豪華な明かりと静寂だけが、二人を包むんだ。


「思ったより遅くなってしまった。あかね嬢は明日も学校がある事だし、早く寝ないとね」


玄関でアーネストと別れた後。
二階までの階段を上がり、三階へと続く階段へ足を踏み入れた時、不意に後ろから声が聞こえた。


「あかね」

「結祈!」


自分の名前を呼ぶ優しい声に振り向けば、後ろには結祈の姿があった。


「おかえりなさいませ」

「ただいま。なんか色々と持ってるね」

「ええ。これから浴場へ向かう途中ですので……それより」


話を腰を折り、いつも以上の笑みを向ける結祈。
よく見ると目が笑っていなかった。


「貴女様は義務教育を終え自身の行動に責任を取る年頃になりましたが、まだ未成年で保護者が必要である事はご理解頂けますか?」

「?そりゃあ…一応理解はしてるけど」

「ならば!!」


唐突に大きな声を出され、あかねは驚いて思わず肩が跳ねる。


「このような時間まで遊んではいけません!非常識です!聞いたところによりますと、今日は逢い引きだとか。男はみんな狼なんですよ!何かあったらどうするんですか!?」


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