桜空あかねの裏事情
「あの男?ああ…アーネストか。彼は私の旧友で、無所属の異能者だ。行動を共にする事が多い所為か、よく勘違いされるがな……そもそもあれがいたら風紀が乱れる」
「?」
「話を戻すが、その中でもお嬢さんは異能を持ってはいるものの、使用したことはおろか自分の異能の性質を完全に理解しているかさえ怪しい。まぁ知識は充分に与えてはいるが、短期間で叩き込ませるには、やはり実戦が手っ取り早い」
「短期間?」
思わず口にすると、ジョエルは呆れたようにため息を一つ零す。
「オルディネには少々、困った事態があってな」
ジョエルからその事態というものを簡潔に、そして理解しやすく要点だけ話され、俺はオルディネの内情を知る。
「要するに正式所属している者達の内、貴方以外は彼女がリーデルに就任することを反対しているという事なのか」
「ああ」
「そして彼女がリーデルに就任する為には、来月までに反対派の四人に認めてもらうか、彼女を支持する異能者を過半数オルディネに所属させるかの二択」
「その通りだ」
「過酷だな」
ただその一言につきる。
彼女からそんな事を思わせる素振りを微塵も感じなかったが、身を置く環境は凄まじいものだ。
「選択したのはお嬢さんだ。決して容易な事ではないが、私は彼女を信じている」
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