桜空あかねの裏事情


「御三家は異能者の始祖及び古代種の血を引いてると言われています。となると、やはり血を絶えさせない事はおろか、後世にまで遺さねばなりません。故にお相手には慎重になるかと」


結祈が丁寧な口調でそう説明すれば、昶と朔姫は納得したように頷いた。
彼は見かけよりずっと博識らしい。


「ですから、恐らくあかね様にも」

「あ、私はいないよ。それっぽい人を紹介された事は一度もないし、何より母さんに必要ないって言われたし」


結祈が控えめに視線を送れば、あかねは慌てて否定する。
言葉の端々に違和感を感じたが、笑顔のままの彼女の真意は分からない。


「確かに勝手に連れてきていつの間にか結婚しそうだな」

「でしょ。葛城さんはどうですか?」


突然、話題を振られて俺は内心戸惑う。


「好みのタイプとか。あ、もしかして彼女さんとかいたりするんですか?」

「それオレも気になる!ってか葛城センパイいくつですか!」


好奇心に輝いた目で、俺に詰め寄るあかねと昶。
生徒達もそうだが、この年頃の好きな話題は、やはり恋バナというものらしい。


「彼女はいない。が、好いている相手はいる」

「ズバリ片想い!」

「歳は22だ」

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