桜空あかねの裏事情

「「え」」


俺の年齢を聞いた瞬間、目を白黒させて固まる二人。
……変なことでも言っただろうか。


「どうした?」

「いや……オレてっきり、25ぐらいかと思った」

「私も。結祈と3歳差だなんてびっくり」

「何?」


信じられない言葉を聞いた気がして、思わず結祈を見ると変わらず笑顔だった。


「自分は今年で十九になります。貴方と思ってたより年齢が近くて驚きました」


いや驚いたのはこっちの方だ。
やはり人は見掛けによらない。


「そういえばギネヴィアさんは?」

「お茶会には行くって言ってたから、もうすぐ来ると思う」


そうして彼等は茶会を楽しんでいる。
ジョエルとの話し合いでオルディネに入る決意はしたが、養成所で生徒達と接している時と何ら変わりない気がしてならない。
その後アーネストとギネヴィアと名乗る女性が来たが、この二人もあかね達と同じように一筋縄ではいかないらしい。


その日は茶会の後
それぞれが思い思いに過ごしていった。
俺は昶と共にジョエルにチーム所属の説明やオルディネの詳細を聞き、最後に差し出された申請書とやらに氏名を記入をした。
協会に提出し、これが通れば正式に所属したことになるとか。
しかし彼の部屋は暗い上に、本が山積みで汚い。
ちゃんと掃除をしているのか非常に気になる。

またオルディネ所属者でまだ会えてない人物が一人いるらしいが、実家に帰省中らしく会えるのはまだ先らしい。

それからジョエルに所属申請用紙を提出した後、この館に住むか否か聞かれたが、その答えは保留にしておいた。
なんというか……そこまで気が進まない。


以前。
といっても数日前だが、アーネストが書状を持ってきた時はまさかオルディネからのスカウトとは思わなかった。
そして解散寸前のオルディネは、もう寂れてしまっているかと思ったが実際は間逆。
というより賑やか過ぎだ。
危機感というものがないのだろうか。

……違うか。ジョエルだけではなくオルディネに所属する者達全員に、解散する気はさらさら無いのだろう。

そして何より
俺という人物を見て選んで、そして声を掛けてくれた彼女に感謝している。


館を後にし、俺は一人帰路につく。
先程の賑やかさが恋しくなるほど、静かな道を歩きながら。

解散寸前のチームとは思えない呑気さと、未だ見えない未来に抱く希望と不安に、俺は何故か笑みを零しながら溜め息をついた。


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