桜空あかねの裏事情


「ご丁寧に感謝致します。自分は結祈と申します。以後、お見知りおきを」

「いえいえ、こちらこそ………ん?」


ふと何かに気付いたのか、瀬々はまじまじと結祈を見つめる。


「何か?」

「……似てる」

「え?」

「あ、何でもないッス。こちらこそよろしくッス!結祈さん」


返事も待たず早々に切り上げると、瀬々は既にあかねの方を見ていた。


「ほらあかねっち!ちゃんと挨拶したッスよ!教えるッス!」

「挨拶しろとは言ったけど、教えるって言ったっけ?」

「それ屁理屈じゃないスかー!あかねっちもどっかの陰険グラサンと変わらないッスよ、」

「ちょっと。ジョエルと一緒にしないでよ」

「別にジョエルさんだなんて言ってないッスよー?」

「む。絶対教えない」


そっぽを向けば、瀬々は抗議するように声を上げ始める。


「うん。やはり若いって素晴らしいね」

「貴方も大して変わらないと思いますが」

「見た目だけだよ」


言い合いながらも楽しくじゃれ合っている二人のその姿を、アーネストは楽しげに眺めながら呟いた。
傍らにいる結祈も少しだけ笑っている。


「……ところで」


声色を若干低くして、不意にアーネストが話を切り替えると、結祈はそれに気付きいて彼の方を見遣る。


「見たところ、一人足りないのだけど」

「……ギネヴィアさんなら、もうここにはいません」

「こんなときでも仕事かい?」

「ええ……面倒な役目を押し付けられました」


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