桜空あかねの裏事情

「……うん。分かってる」


――私がけじめをつけないと、先には進まない事ぐらいは。
――ちゃんと分かってる。


「もしその事で何か相談があれば、私はいくらでも聞こう。もちろん私だけではない。昶や朔姫、結祈やアーネストも、話せば力になってくれるだろう」


普段から発する皮肉のように、どことやく話せばを強調するジョエル。


「特に昶や結祈は、君に親身になってくれるはずだ。それにアーネストは経験だけは豊富だ。私よりも的確な助言を授けてくれるだろう」

「うん…」

「とはいえ今は、私しかいない。助言をすることも慰めることも出来ないが、受け止めることくらいは出来る。泣きたければ泣けばいい。何か言いたければ言えばいい」


頭を抱えられてる以上、そう言ったジョエルの表情を見ることは出来ない。
だが再び優しい手つきで頭を撫で始めるその手に、あかねの目許は熱くなってくる。


「っ……ありがとう。ジョエル」


珍しく優しいジョエルに甘えるように、あかねは再び涙を流した。
まるで今まで抱えてた何かを、洗い流すかのように。


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