桜空あかねの裏事情


大徳高校 第三理科室


現在の時刻12時10分。
暖かな日差しが差し込む昼下がり。
遠くから聞こえる喧騒を微かに聞きながら
あかねは昶と朔姫、そして瀬々は使われることが滅多にない第三理科室にて、それぞれの昼食を広げながら、俗に言う昼休みを過ごしていた。


「だーかーら、何度も言ってるじゃないッスか。あの道を曲がってすぐだって。いい加減覚えるッスよ!これ情報屋の基本」

「冗談じゃない。私を情報屋と一緒にしないで。大体アーネストさんもあの道をどうとか言うけど、どうせあなた達は異能使ってるんでしょ」

「あ、バレやした?」


瀬々は悪びれることなく、すんなり肯定する。


「あーん、でもでもー、俺っちの異能はアーネストさん達の情報系の異能とは違うんスよ」

「じゃあどんな異能よ?」

「んー……予言的な?とにかくあかねっちと同じ特殊系ッスよ!」

「ふーん」


明確な答えを口にしない瀬々に適当な相槌をしながら、あかねは弁当のおかずを口にする。


「いつも思いやすけど、そのお弁当美味しそうッスよね」

「結祈が作ってくれてるからね」

「へぇ結祈さん凄いッスね。ちなみにだし巻きちゃん頂いても?」

「ん。どーぞ」


弁当を差し出せば、瀬々はひょいっとだし巻き卵を取る。


「あざーす。んで話を戻しやすけど、あかねっちは例の生き残りさんについて知りたいんスよね?」

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