桜空あかねの裏事情
黎明館 地下
「よっしゃー!これで完了っと!どうッスか?駿センパイ!」
「ああ……以前に比べて大分安定してきている。このままいけば問題無さそうだ。次の課題に取り組んでくれ」
「了解ッス!」
「さて、次は君だな」
「…………」
あかねと昶は、異能者養成所の講師である駿に師事し連休の間、異能を使いこなす訓練をしていた。
知識に関しては相応に身に付けられたものの、やはり実戦が不十分だと判断され、駿の予定が空いてる日は彼の元で訓練に励み、不在時は二人で教わったことの反復をしていた。
その為、しない日はないと言っていいほどの寄り道もせず、館まで直帰する日々を過ごしている。
「……その様子では、まだ発現出来てないようだな」
「うっ……で、でも!結晶は出来ましたよ」
そう言って、あかねの手の周りに結晶とは到底言い難い、歪な塊が個体が現れる。
「ほら!出来てますよね?」
「…………」
「それ結晶っつーより、ちょっと濁った氷砂糖――」
「昶黙って」
強い口調で遮ると、駿は深く溜め息を吐く。
異能の訓練を始めてから早一週間は過ぎ、昶は課題を着々とこなしていた。
その上、未成年異能者特有の暴走や不発なども無く、順調に異能を制御しつつあった。
しかしあかねは、模倣という能力故に昶の異能に続いて朔姫の異能を習得する事は出来たが、完全に使いこなす事は未だに出来ていなかったのだ。
「ふむ……言霊はそれなりに使えたはずだ。覚えが悪いわけではない。氷の異能を使うことに何か迷いがあるのか?」
「んー……特に無いと思いますけど」
言葉の通り、迷いは無かった。
今まで使用する機会が皆無に等しかったあかねからしてみれば、純粋に異能に対しての興味と好奇心でいっぱいだった。
だが模倣した氷の異能は、言霊の異能に比べ何故か使いづらいという感覚があるのだ。
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