桜空あかねの裏事情

「迷いというか……なんか使いづらいんですよね」


「使いづらい?」

「はい。言霊を使う時は、特に何も思ったりしないんですけど、氷を発現させる時はなんとなく、難しいなぁって思うんです」


感じた事をありのまま伝えると、駿は考える素振りをし始める。


「もしかしたら……模倣は出来ても、使用する場合は相性があるのかも知れないな」

「相性?」

「人であれ物であれ、相性というものは少なからずある。異能も同じだ。例えば――」


駿は胸元から何かを取り出し、手のひらを広げる。
そこにはアクアマリン色の涙型の石があった。


「なんですか?これ」

「これは異能石と言って、能力を石として外に出したものだ。石の色の濃さ、大きさなどにその能力の強さが現れる」

「へぇ……」

「オレ知ってるぜ!赤とかオレンジとかグリーンとか、色々あるよな」


課題に取り組んでいたはずの昶が、後ろから覗くように石を見つめる。


「ああ。色はその人物の性格や個性が反映するからな」

「そうなんだ。これは葛城さんのですか?」

「いや。これは友人の異能石だ」

「ふーん」


話しを聞いて何を思ったのか、昶は途端にニヤリとした笑みを作る。


「って事は、駿センパイは異能石を誰かと交換したって事だよな〜」

「なっ」


誰が見ても分かるほど動揺している駿に、悪戯な笑みを浮かべて更に追い討ちをかける。


「お!まさかの図星!相手はこの前言ってた想い人だったり?」

「?……能力石と想い人さんは何か関係あるの?」


話の意図が掴めず、尋ねれば昶は笑みを保ったまま話し始める。


「当然!湊志さんから聞いたんだけどな、異性と互いの異能石を交換すると――」

「昶!話しているという事は、課題はもう終わったんだな?」


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