桜空あかねの裏事情
――今思えば、ジョエルに会わなかったら昶が異能者である事を、知らないままでいたかも知れないよね。
「あなたがそう思ってるのは分かったけど、私は御三家とかそんなのどうでもいいんだよね」
「ですが……」
「家がどうだろうが、私は私だから。まぁ…今のあなたと私は、主と付き人っていう縛りがあるけど。でも対等であるべきだと思うの」
はっきり言い切ると、黒貂は唖然としている。
「それに私は高校生で」
「こうこう…せい?」
黒貂は何故か不思議そうに呟いた。
「それは役職なのでしょうか?」
「え」
予想を裏切る言葉に、思わず瞠目する。
「高校生だよ。知らない?」
「はい。初めて耳にしました」
「………」
思いもよらない発言に、今度はあかねが唖然とする。
「えっと、高校生っていうのは学生の一種で」
「がくせい…ですか?」
「んーと……同い年の子達と一緒に、学校ってとこで勉強したり遊んだりして色々な事をするというか……」
普段当たり前だと分かっていても、いざ言葉にすると難しい。
あかねはそんな事を頭の片隅で思いながら、曖昧ながらも説明すれば、黒貂は納得したように頷く。
「そうなのですか。それはとても楽しそうな役職ですね」
「あー、ははは……」
楽しいという事は否定しないが、学生は果たして役職なのだろうか。
物凄く疑問に感じるあかねだが、黒貂は納得しているようなのでこれ以上、口に出さない事にした。
「あなたは?」
「私ですか?」
「うん。アロガンテに所属してるんだよね?オルディネは崖っぷちで、みんな忙しそうにしてるけど、他のチームはどうなのかと思って」
オルディネは人数不足もあってか、比較的忙しくしている者達が多く、館も騒がしかったりする。
だが昨日のアロガンテの屋敷の様子を見て、他のチームには多少なりともゆとりのあるのかと、あかねは純粋そう思っていたのだ。
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