桜空あかねの裏事情


「しかしこちらの条件ばかり呑んでもらっても、フェアではない。だから約束しよう。私がオルディネに所属したら二年…早ければ一年以内に、上位争いに余裕で食い込めるほどのチームにしてみせるよ」


再びざわめきが起こる。
そんな中、ギネヴィアが口を開く。


「上位って……どの辺りを指してるのかしら?」

「もちろん、ケイオスをはじめとする猛者達さ」

「それ正気?ケイオスと言えば、ここ数年不動の首位をキープしてるチームよ。どう考えても、最下位のアタシ達じゃ太刀打ち出来ないわよ」

「分かっているよ。私もはじめからケイオスに対抗するとは言ってはいないさ。ただ可能性を提示しているに過ぎない」


あらゆる知恵と知識、そして得た情報を駆使し、他者の可能性を無限大に引き出す。
それが自分の能力を最大限に活かすと、アーネストは自負していた。


「口で言うのは簡単だけどさー、いくらアーネストでも厳しいんじゃない?ホントにそんな事出来んの?」

「出来るも何も、所属したのなら全身全霊で尽くすまでさ。己の全てを賭けてね。幸いなことに、オルディネは未熟ながらもポテンシャル自体はそう低くない。私がバックアップするだけで、チームの質は格段に上がるはずさ。少なくともレガーメやオネット辺りは凌げるほどに」


アーネストは臆することなく堂々と告げる。
その瞳は遥か先の未来を見据えているかのように、とても真っ直ぐだった。


「そうなれば、解散の危機を回避出来るどころか、無力な秩序と馬鹿にされることも、周囲から小言を言われることもない。更にはオルディネの看板をも、自分達の武器に出来るはずだよ」


に話し終わるとアーネストは一息吐いて、この場にいる全員を見据えた。


「私の言いたい事はそれだけだ。あとは君達が決めればいい。どんな結論でも私は、全て受け入れるから」


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