続 青薔薇姫



「虎太、お前……。」


やっぱり柚歩はすぐに気付いちゃうよな……。


瑞華はじっと俺を見て固まっていた。


「虎太……どっか行っちゃうの……?」


「………ごめん。今日隣の県に引っ越すんだ。」


「なんで……っ、なんで何にも言ってくれなかったの!?」


「落ち着けよ瑞華…。虎太だって言いづらかっただろうし……。」


目にいっぱい涙を溜める瑞華を宥める柚歩。


「でもっ……でも虎太が……!!」


あぁ……泣かせたかったわけじゃないのに……。


「ごめん瑞華……。

引っ越すこと瑞華に言ったら悲しむと思って……。」


自意識過剰かもしれないけど。


でも瑞華なら、こんなふうに泣いてしまうと思ったから……。




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