○○彼氏。【完】

そこまで聞いて、あたしが秋斗に惚れた時のことを思い出す。


そういえばあの時、秋斗は小さい折りたたみ傘で濡れて帰ってた。


そして、今度は先程の秋斗の言葉を思い出す。


─────濡れるの嫌いなのにわざわざなんとも思ってない人に傘貸して帰るほど、お人好しじゃないってことなんだが。


なんとも思ってない人に───・・・・


「あの時から好きだったんだろうな、優奈のこと」


その言葉を聞いて、一気に緩み出す涙腺。


「覚えてないって言ったくせに〜!!」


泣きながら不満を口にするあたしに、


「俺の気持ちがバレそうになることだけはゴメンだったからな」


と返ってきた。


< 269 / 355 >

この作品をシェア

pagetop